COLUMN
2023.12.7

トロッコと彩雲

大府ふるさと散歩(左書籍)~郷土に眠る隠れた歴史~は、著者廣江安彦氏(以下、廣江氏)の実体験や地域への取材などをもとに書かれた、大府市の歴史や文化を紐解く郷土本です。

その中の一節『トロッコと彩雲』という見出しで、花井組が紹介されています。

花井組は、幼少期に廣江氏が過ごされたご自宅のすぐ傍にありました。朝鮮戦争下での地域の暮らしをはじめ、手作業が中心の工事現場、資機材を運ぶ「トロッコ」を押す社員の姿、東北や九州などの出稼ぎの方が入っていた寮など、現在は見ることができない当時の様子が描かれています。

とりわけ、社員に叱咤しながら指導する社長(当時の勝美社長)の熱血な仕事ぶりは、幼少期の廣江氏の中で強く印象に残り、畏怖の念も抱いた存在だったと振り返っています。

数十年後、廣江氏が勝美のお別れ会にご参列された際、勝美の略歴から第2次世界大戦で海軍偵察機「彩雲」の監督であった事実を知り、昔抱いた熱血な近所の建設会社の社長と、海軍偵察機の監督が重なり、妙に納得されたと綴られています。

勝美にとって時代や場面が変わっても、国のため地域のために力を尽くす、という熱い思いは変わることはありませんでした。この変わらぬ思いが花井組の創業期と成長期を牽引し、その後の発展を支える原動力となりました。これからも社員一同この思いをしっかりと引き継ぎ、地域の心の風景をつくる担い手を目指し、持続可能な社会資本づくりに貢献してまいります。

※著者より承諾を得て掲載しています。

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